夕張
それまで前人未到の広大な密林であったこの地で
明治21年
石炭の大鉱脈が発見されると
明治後期には2万人を超える街に
急成長した
ゴールデンカムイ第70話「アムール川から来た男」
ゴールデンカムイ第70話に登場する夕張川 千鳥ヶ滝。
動画派の方はこちらの動画も併せてご覧ください。ブログでの詳細な説明はこの下に続きます
千鳥ヶ滝は、夕張市にあるこの千鳥大橋を渡るときに見ることが出来る。
この千鳥ヶ滝について作中にはとくにセリフや言及はないが、見開き2ページをつかって下の構図の景色が美しく描かれている。
丁寧に作られたパイ生地のような無数の薄い地層の間を白い水が流れており、その景観はもはやミルフィーユ。右側の岩も同じように無数の層がはいっているのが、水によって削られ非常に見やすくなっている。
地層に角度がついて縦に岩の層が無数にあるこの景色は他ではなかなかお目にかかれない。
地質学的には中新世と呼ばれる約2300万年前から500万年前の期間に発生・発達したものがこのように誰もが見やすい形に、しかも広大に露出しているのは幸運なことで、しかもその溝にそって天然の滑り台のごとく滝が流れているという芸術点の高い景色となっている。「約2000万年前」と対面できる変わった散歩道となっている。
このあたり一帯は滝の上公園という名前がついているが、それとは別にアイヌ語でポンソウカムイコタンと呼ばれていた。それぞれの単語を直訳すると
ポン…小さい、特に川の小ささに用いられる
ソウ…「ソー」と読み滝の意味
カムイ…神
コタン…村、集落、住むところ
小さな滝のある神の住むところ という意味になる(北方の神々が住むところ、と意訳されることが多いようである)。
小さな滝…と呼ぶにはあまりに壮大な滝だが、全くの憶測で言うならば上流にダムができる前はもっと小さな滝だったのかもしれない。
カムイが付く場所や岩は道内に無数にあるのでここだけがという話ではないが、おそらく昔から神秘的な美しさと厳しさをもつ場所として捉えられていたのではと考えている。またゴールデンカムイの上記の引用の通り「前人未踏の密林」であったことから、
人の住めない険しいところ→神々の住むところ
となった経緯もありそうだ。
現に遊歩道が整備されていなかったら渡れない、人の背丈もありそうな岩の壁の凹凸が露出しているところも多々あり、走り回る狩りには向かなそうな険しい場所。
千鳥大橋の真ん中から滝や景色を眺めて帰るというのがメインコースのようであるが、橋を渡り切ると下に降りられる遊歩道があり、そこはこのように地面にも岩の層を見ることができるのでぜひ散策を。2000万年前のロマンを感じることができる。ダイナミックに浸食された岩層が見られるので非常に貴重な散歩道になっている。是非ゆっくりと観察を楽しんでほしい場所。
神居古潭(カムイコタン)の名がつく場所はいくつかあるが、どれも信仰の地(霊地、聖地)でもあり、ここもその一つだったのだろうと思う。
先に進むと吊り橋がある。吊り橋を渡らずもっと奥に行くコースが昔はあったのだと思われるのですがそれらしき道が見当たらなかった。
現在は閉鎖されいているのかもしれない。
案内板を見ても、あちこち閉鎖だらけで養生テープで消されていた。
吊り橋は当たり前ながらかなり揺れる。
しかし吊り橋から見下ろした方が細かい岩の層が間近に観察でき興味深い。
吊り橋を渡って駐車場に戻ると大正時代に北炭が建設した発電所の建物が残されている。現在は北海道の管理となっているが、レンガの建屋は内部の老朽化で、発電所としては左に見える白い建屋が現在その役割を果たしているようである。発電所としての役目を終えてしまった、今となっては無用のこの美しい建物を取り壊さず残してくださっていることがありがたい。見られるうちに見ておきたいたいへん美しい建物。
この建物、中央に三角の屋根のようなラインが入っていたのですが、隣に何か三角屋根の建物が続いていたのか、増設したのか。大きな改修工事をしているはずなのでその時向かって左にあった建物が取り壊されたのでしょうか。
窓に北炭の社章が今も残っている。
駐車場の周りにはお店が立ち並んでいた。札幌市内でもよく見かけるいちご大福が人気の和菓子の出張販売もあったり、一方でユーズド品を並べて売る店があったり、出張販売なのか常設店なのか不明だが帽子屋さんや盆栽専門店もあったりと他にはないラインナップでちょっとしたカオス感が面白かった。滝をみたあとで盆栽を見よう、値段が手ごろならかわいいものを一つほしいなんて思っていたのに忘れて帰ってきてしまった。
冬期は閉鎖になるようなのでご注意ください。桜の時期にまた散歩してみたい。
夕張 千鳥ヶ滝|ゴールデンカムイで寄り道さんぽ#10