動画派の方はこちらの動画も是非ごらんください。旭川偕行社をゆっくり散歩しています。記事はこの下に続きます
今回は旭川のこちらの建物。
旧旭川偕行社です。現在は中原悌二郎記念旭川市彫刻美術館。旭川に第七師団が創設された際将校たちの社交場として、 明治35年に建設された建物です。現在は国の重要文化財。
ゴールデンカムイでは第50話にこの角度が登場します。
谷垣「旭川は第七師団の本部がある」
ゴールデンカムイ 第50話 春雷
今はすぐ前に道路が横切っておりますが、当時は雰囲気あるアプローチがあり、周囲も整備された美しい庭でした。美しい庭の中に少し隠れるようにある貴賓館といった佇まい。中からの景色も美しいものだったと思われます。
その美しかった庭部分は旧旭川偕行社から道を挟んで向かいにあります春光園という公園となって一部残っています。子どもたちの楽しげな遊具もあり、親子連れが絶えない園内には何本か大きな木がありますが、おそらくはこの旭川偕行社の前庭が作られた際に植えられたのではないかと思うとこちらも貴重な歴史を持つ公園。園内の片隅には日露戦争戦没者の顕彰碑があります。
建物内部は入場料を払って見学する彫刻の美術館のため彫刻が映った撮影はアップ禁止(ではありますが、その彫刻の写真もSNS等にアップしない個人で楽しむ分での撮影は可だったような気がします。詳しくは受付でご確認を)ですが、建物部分は撮影OKとの説明を受け、中へ。
ドアや窓枠の威厳ある佇まいはまさに「陸軍」という感じがしましたし、
このバルコニーは昔の写真を見る限りもともとはなかったのですが、非常に美しく札幌の豊平館を彷彿とさせます。
二階のバルコニーが描くアーチや天井のシャンデリア跡の優美さは実に「貴賓館」という感じで、カリスマ性を持つ鶴見中尉の威厳と優美さの二面性のキャラクターはここで生まれたのではないかと思うほど鶴見中尉に似合う建物でした。
一階は軍としての威厳、二階は貴族的な優美さ。外観からはそんな変化は感じられないのですが内装はうまくそのあたり用途に応じて雰囲気を変えているような建物に思えました。後述の美しい階段がその役割を担っているのでしょうか。
そして鶴見中尉とこの建物といえばこちら!
階段の踊り場からの一枚
鶴見の見物。
ゴールデンカムイ 第164話 悪兆 カラー絵より
高見の見物とばかりに鶴見中尉がいつもの真意の分かり兼ねる笑顔でここから振り返って見下ろしている一枚。似合うんですよね。鶴見中尉の為の建物かという錯覚が起こるくらい似合います。鶴見中尉の服の色とこの階段の漆黒もとてもマッチしています。これは鶴見中尉のための階段かというくらい。
そして別記事で取り上げますがおなじく旭川市内にあります第七師団の記念館「北鎮記念館」に残された一枚の写真、それがこの旭川偕行社で撮られた貴重な一枚なのですが、二階の大広間のスケールがよく分かる一枚となっております。
木造建築(しかもここは2階)にこれだけの人を収容して大丈夫なのかと思う程の人数。現在の二階の大広間全体を写してしまうと彫刻が入ってしまうため撮影しなかったのですが、こちらの一枚が見事に当時を語ってくれていました。
これは動画内では触れなかったのですが、こちらの写真、おそらく手前側が位の高い方々なのではと思われるのですが、なにぶん昔のカメラの為手前にはピンとがあっておらず、カメラにばっちり収まるはずの手前の方々はお顔の判別が難しく、後ろの方々の方がはっきりと映っています。時折かなり前の位置でもあどけない程若く見える方も若干名おられるのですが、ゴールデンカムイ鶴見中尉の言葉を借りるならば高貴な血統のお生まれの方々でしょうか。位の高い方々のご子息などにあたるのか。鯉登少尉、勇作少尉が思い浮かぶひとコマでした。
現役時代のシャンデリアもありますね。立食パーティーだったのか本当にぎっしりと第七師団関係者がおられます。
そしてこちらも北鎮記念館で撮ったんだと思うのですが、一度は荒廃した旭川偕行社の写真。
二階の窓がバリバリです。近所の子どもたちにお化け屋敷と呼ばれ恐れられたとのこと。昭和30年代の話です。その昔軍で使われていた建物とあればこの佇まいとあいまって怖さは倍増したかもしれません。取り壊しを望む声も多かったとのこと。これだけ壊れていて使われておらず、鳥が巣をつくり、薄気味悪い状況であれば無理もありません。
その後美しく蘇った旧旭川偕行社。
あれだけ野ざらしだったとなるとどれだけ当時の建材が使われているか分かりにくいですが、2階部分は大きく変わった感じがありますね。総ガラスの仕様は維持のたいへんさもあって採用されなかったのでしょうか。現在は二階の真ん中が半円状のバルコニーになっていますが、当時はそうはなっていないように見えますね。当時は単に玄関ポーチだったように見えます。
屋根も瓦から変えているように見えます。ただ一階部分はほぼ当時のまま感があります。とくに右の階段。
この玄関前のポーチまわりのこの石畳は、なんとなく古さからして当時のままな気がするのですが、ただ写真にははっきりと写っていません。建物の石の基礎部分も現在のは若干新しく見えますがはっきりとは分かりません(一番上の段の石の幅が当時の写真と違うようにも見えます)。
奥に六角形の塔が見えているのが分かるでしょうか。こちらは偕行社のものではないのですが雰囲気を合わせるためかこちらに移築されました。古い病院のもののようです。こちらも趣がありますね。
こちらの建物である中原悌三郎記念旭川市彫刻美術館の場所はこちら