ゴールデンカムイの聖地巡礼とちょっと余談を交えながらおさんぽ気分でご覧いただきたい「ゴールデンカムイ寄り道さんぽ」。12回目となる今回は美しい旧札幌停車場です。
札幌駅の三代目駅舎となります。こちらは復元ですが、実際の物は今の札幌駅の位置に明治41年に建てられました。
ゴールデンカムイ第240話に登場。
夏太郎「新聞~ 新聞~ 」
土方歳三「金魚ぉ~」
ゴールデンカムイ第240話 菊田特務曹長
この場面では、この旧札幌停車場が現役の駅として活躍していた頃に土方一味が売り子に扮しているところが描かれています。
親殺しは巣立ちの通過儀礼だと言った(そして実際そうしている)尾形が人形を孝行息子に見立てる「親孝行」をやっていたあの場面です。尾形は売り子というより大道芸人に扮していたわけですね。作品からは当時飴売りを中心にただ売り歩くのではなくなんらかのエンタメ性を持たせて気を引く風潮があったようで、テレビもスマホもない時代、売り子たちは街の賑やかさを増してくれる活気の象徴だったのかもしれません。
旧札幌停車場は左右対称の美しい建物です。雪との相性が抜群
実際の旧札幌停車場は昭和26年に老朽化の為解体されましたが、明治大正昭和の戦後に渡るまでの間札幌の顔として活躍しました。復元された旧札幌停車場は開拓の村という野外博物館の顔(受付)として活躍中です。
雪化粧はどの建物も美しいものですが、旧札幌停車場も雪が似合います。明治~昭和初期の人々もこのような札幌停車場を見ていたのでしょう
札幌駅からまっすぐ伸びる駅前通りは当時は停車場通という名前でした。これは豊川稲荷札幌別院の玉垣と共に残された石にも残っています
札幌停車場は鉄道の駅ですが、そこからさらに伸びるような形で停車場通り沿いには後の市電につながる「馬鉄」が伸びていました。馬が引く鉄道です。それを再現するかのように開拓の村でもこの旧札幌停車場の受付を超えるとまっすぐ伸びた通りに馬鉄が走っています。
なんと冬は馬鉄から馬橇に変わり、本当に馬がそりを引く馬橇に乗車することができます
ちなみに復元なので建物自体は新しく、普通の鉄筋コンクリート造という感じの建物なのですが、そこに現役で置かれているベンチがとても古い気がするのです
使い込まれた古さが溜まらないベンチ。古さが良い味となっていて、しかも頑丈でまだまだ使える気しかしません。素敵過ぎる。ここに人々が腰かけてきた情景が思い浮かびます。こんなの欲しい。
ちなみに開拓の村の旧札幌停車場は、ご覧のように階段を上りきった高台にあり、ここから後ろを振り返った景色は明治を彷彿とさせるものがあるのでご紹介します
まず山々。札幌は地方都市とはいえその大半は今も山なのです。札幌市の6割が山林とされています。
この景色はゴールデンカムイの頃の人々が見ていた景色とほぼ変わらない。
そしてお気に入りはこの旧札幌停車場からみたバス停
夕日の近くにある山小屋のようなものがバス停の待合所です。
田舎の山奥感というか、明治の開拓時代を思わせるというか。文明らしきものがほとんどないのが美しいのです。開拓の村に訪れたら是非、受付である札幌停車場に入る前に後ろを振り返ってみてください。今から明治時代に突入するぞという臨場感が出ます
ゴールデンカムイで寄り道さんぽ#12 旧札幌停車場