江渡貝くん家のリビングテーブル|ゴールデンカムイで寄り道さんぽ#26


鶴見「これも豚皮で作った剥製かね 江渡貝くん」

ゴールデンカムイ第71話 『職人の鑑』より

このテーブルは前回ご紹介した宇佐美が通っていた学校のモデル、旧北海中学校(北海道開拓の村内)にある。場所は校長室で、椅子の中に一つ背もたれの中央部がないものがあるが、あそこに江渡貝くんの母(の剥製)が座っていた。

しんと静まり返って誰もいない学校の中、このテーブルにはさもお客さんが来ているかのようにお茶やお盆が置かれているのでほんのり江渡貝くん家の雰囲気が味わえるかもしれない。怖くはないけど。

江渡貝くん家のリビングテーブルがあるのは学校の校長室の片隅

ここは元から校長室だったと考えるとかなり広い校長室。左に見切れてしまっているのが校長先生のデスク。歴代校長の写真が飾られ、校旗も見える。

学校の資料室にも時代を感じさせるものがたくさんある。

この時代の学校にグランドピアノはすごい。昔この学校は北海道唯一の私立中学だった。ゴールデンカムイにも鰊御殿内でグランドピアノを弾く鶴見中尉の一コマが見られる。作中でグランドピアノはは親方に「洋琴」と呼ばれている。

グランドピアノの手前にあるのは足踏みオルガン。各教室はこれがよくあった。今はもうないのだろうか。木製のものは開拓の村で初めて見たけれど合板やプラ製のものが小学校の各教室にあった気がする。

アコーディオンとランドセル。ランドセルは今もほとんど形が変わっていない。この形とこの厚み、そして硬さがリュックと違って事故などの転倒時に頭部を守ると聞く。林芙美子作の泣虫小僧 という小説にも、ランドセルのおかげでなんとか助かったという話が出てくる。展示されていたものは傷がほとんどなく、持ち主は品行方正な小学生だったのか、使われないまましまわれていたものが展示されるに至ったのか。

なんとなく牛山を連想させる展示もあった。柔道着や剣道の道具など。

このいかにも重そうな大きい棒は剣道の素振り用だったそうで、大正時代のもの。こんな大きなものを振り回せるものなのか、しばし足をとめてしまった。第七師団の兵士たちのような屈強な日本男児が目に浮かぶ。

ゴールデンカムイとは関連がないが、美しさの余り見入ってしまった水筒

そしてこの水筒。展示には「水筒 昭和時代」としかなかったが、このフォルムと革紐から言って昭和といっても後期ではないことは確かである。オパールのような美しさで、昭和前半にこのような美しい水筒がしかもあまり凹みもなく塗装の剥げなどもない綺麗な状態のものがあるものなのか。目を見張るような展示ではあったがそれ以上の説明がなかった。この学校に展示されているからと言ってこの学校の生徒のものとは限らないのだが(教育関連の展示をまとめているようだった)、相当なお金持ちの男の子のものだったのではないかと勝手に想像がふくらんだ。誰も持っていないような美しく自慢の水筒だったであろう

こちらの学校、反対側から見ると二階堂が入院していた病院にもよく似ている(二階堂が入院していた病院のモデルは実際には明治村にあります)。本当に美しい学校だなと立ち止まってしまった次第。屋根にある採光用窓の上の尖塔とか、凝ったデザインがたまりませんね。学校は美しい方が勉強意欲が湧くと思うのですよ、西洋の学校も歴史を感じる美しいデザインが多いです。

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