「なんてウデしてやがんだ…」尾形が銃を構えていた火の見櫓|ゴールデンカムイで寄り道さんぽ#49

茨戸のニシン番屋の息子新平ちゃんが、尾形の銃の腕前に冷や汗をかいた火の見櫓です。

おなじみ北海道開拓の村にあります。”農村群”へ向かう途中といった感じの場所で、ここから先に進むと帰りがちょっとたいへんになるので迷う場所(笑)

昨今、消防署は別として火の見櫓はずいぶん減ったそうで、新築されることはまずない一方で取り壊しが多く、札幌市内の火の見櫓はほぼなくなりました。あたりまえにあるものだったので見かけても気に掛けてすらいなかった気がします。散歩の度に写真を撮っておけばよかったと今になって思います

この火の見櫓は築年数が分かりませんでした(復元の可能性有)が、隣の消防署が大正時代、そして火の見櫓に関しては江戸時代からかなり凝ったものが作られているので作中の時代設定的にも全くおかしくありません。

縦の柱は、ぱっと見一本の木そのものを3本使っているようで、細かく継ぎ足したりしていなさそうですね。

(ジャキッ)

尾形「やっぱジジイの変装だと思ったわ」

ゴールデンカムイ第57話『水泡』より

隣は消防施設。民間の自警団の番屋っぽいですね。中を覗くと消防車がありました

尾形「ヨイショ ヨイショ」

(第57話最終コマの後)

番屋の中を窓から覗き込むと人力か馬力か、給水車らしきものがありました。馬も火を怖がるだろうし人力かな。民間の自警団(消防団)ですね。その隣には馬そりのような大きなソリがあります(左)。雪の時期は給水用の設備をこのソリに乗せ換えて運んだのでしょうか。他に古そうな警鐘などもありました。

厳密にいうとこの火の見櫓の形は作中と少し違います。作中はこの鐘が火の見櫓の外に張り出しています。実際そうだとすると鐘を鳴らす時に不便で、お寺の鐘のように撞木がセットでないと鳴らせないが撞木は描かれていないので、これはモデルとなった火の見櫓の形を少し変えることで尾形を描きやすくしたのかなと、個人的には勝手にそう受け取ったのですが、どこか(明治村など)に作中のモデルとなった火の見櫓が別に存在するか、古い写真にもっと作中にぴったりなものがあるのかもしれません。その他ハシゴの形や鎹、三角柱のようなフォルムなどはこの開拓の村の火の見櫓そのものです。

遠くからこの鐘を狙って銃弾を撃ち込み、両派閥に銃の腕を知らしめた尾形

ドンッ カァァァン

馬吉「あんな遠くの櫓の鐘に…」

ドンッ カァァァン

新平「なんてウデしてやがんだ…」

尾形「ははッ

土方歳三「あの男が鳴らした鐘の音は… 事態が大きく動き出す合図だ」

ゴールデンカムイ第56話『松前藩』より