杉元を天才医師家永が手術した網走の病院。実はモデルとなった旧近藤医院の医師も天才医師であった|ゴールデンカムイで寄り道さんぽ#43

今回は北海道開拓の村にある一軒の病院、旧近藤医院です。

家永「まあ… 驚異的な回復力の杉元さんだから助かったのですけれど…」

第138話『喪失』より

明治期にありながら、まだまだ整わない設備でありながら家永はここで杉元の脳の外科手術も行う。月島も認めざるをえない天才医師であった。

実は作中網走近郊の病院として登場するこの旧近藤医院の近藤清吉医師も天才医師であった。今回はこの旧近藤医院を通してモデルとなった場所を巡る。

明治期の函館の歴史的建造物のような造り

函館の重要建築物のような造り。もともと近藤清吉医師が函館病院から来た医師であることと関係しているのだろうか。どちらにしろ時代を感じる大変美しい建物。

白い名札はきれいなので復元かもしれないが、木に打ち付けた金属の札やその跡が歴史を感じさせる
診察室

今にも白衣の家永が振り返りそうな診察室。診察用のベッドや部屋の脇に長椅子などが置かれ整った室内。

診察用ベッド
手洗台が見える。昔は診察ごとにこれで手を洗っていた。そのたびに水を取り替えたかどうかは…時代と人手によるところがあるのかもしれない。
付添い用または次の人用長椅子

昔は、もうじき呼ばれる人が2~3人既に診察室の中にいるのが普通であった。プライバシーもあったもんじゃないが、普通過ぎて通常あまり何も思わなかったのかもしれない。あまりに重要な話は別室でしたのだろうか。つい立てがあるので体は見られることはないものの病状などの話は普通に筒抜け。この通り通常の内科としての設備は整っている旧近藤医院。このあと見ていきますが調剤室もあり、かなり設備の整った病院という印象。

専門は内科でありながら住民のために外科手術も行い、必要とあらば産婦人科も請け負った天才医師

診察室の隣は手術室。

近藤医師は専門は内科でありながら外科手術も行うことが出来た

印象的なのはなんと手術室があったこと。近藤清吉医師が建てたこの病院は古平町というところにあり、場所は積丹半島。庶民が小樽や札幌に出るのはかなり時間を要する地域。都市部から離れたこの地の病院で近藤医師はできることをなんでもやったという。外科手術も行い、必要とあらば産婦人科を引き受けたりもしていて、町になくてはならない天才医師。

家永もまた(変態ではあったが)天才医師であり、脳外科まで行い、インカラマッのおなかの赤ちゃんも診た(とりあげたのはアイヌコタンの人たちが中心となって月島なども手伝った)。

家永との違いは、家永は「こんなやつ生かしておく必要があるのか」と白石に言われるほどの難のある人物であったが、実在した近藤医師は貧しい人々にも僅かばかりの魚や野菜と引き換えに診療を引き受けることもあったという。本当に町医者として鑑のような存在。それを頭においてこの病院を眺めるとすべての物が温かみをもっているかのようだった。広い待合室は和室で、畳部屋の中央にはあたたかい囲炉裏があり、具合の悪い人は横になって診察を待つことが出来る。昔の病院は割とそうなのだが薬も調剤室が併設されておりここで完結する。

明るい光を取り込む手術室

白石「え? 家永!? 生きてたのか大丈夫かよ医者なんかに見せて…」

牛山「場所を借りてるだけだ 入れ墨は見せてねえ こいつも医者だし」

白石「こんな奴 生かしておく必要があるのか?」

ゴールデンカムイ第55話『鰊七十郎』より

調剤室もあり、ここは江渡貝くんの家の一部として登場している

調剤室(院内薬局)。江渡貝くんの家一部として左右反転して登場していると思われる

江渡貝くん「剥製づくりに高温多湿は大敵です 一度素材が腐ってしまえば剥製には出来ませんから」

ゴールデンカムイ第71話『職人の鑑』より

現在二階へはあがることができないが2階が居室であった。タイルの壁が清潔感があって素敵

もう一つ印象的なのは古い古い酸素ボンベらしきものがあったこと。説明がないので正確なことは分からないが、最初は消火器かと思って通り過ぎていたこれ、昔の酸素ボンベなのではないだろうかと考えている。昔は医者でもなかなか手に入らないことがあったという酸素ボンベ。患者のために日々奔走していた姿が目に浮かぶようだった。

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