第七師団の鶴見が拳銃で牽制したあの時、背後で一瞬映る建物はなんだッ!!|ゴールデンカムイで寄り道さんぽ#18


前回の記事で登場した蕎麦屋で、杉元は第七師団につかまってしまう。蕎麦屋の暖簾付近で二階堂浩平と二階堂洋平の双子に殺されかけている。その時銃声が鳴る。

ダァァン(銃声)

鶴見「そこまで まだ殺すな」

(第16話 『死神』より)

鶴見中尉が拳銃で牽制したのであるが、そのコマで一瞬だけうつる背景の場所も実は小樽に実際に今も残っている。

作中では左右反転で使用しているので㊤のマークも反転している。この建物は旧名取高三郎商店と言う。名取高三郎という人物は山梨県出身の銅鉄金物商ということなので鋳物金物を扱うお店だったろうか。ちょうどゴールデンカムイの時代設定ごろに建てられた石造りの建物で、小樽市街の寿司屋通りと色内大通りの交差点にある。

左右反転してみるとこのような感じ。第16話に登場

大火の後建てられたこともあり教訓からか堅牢な石造り(札幌軟石)で、それ故今も残っている。小樽に来た観光客ならだれもが通るくらいの場所にあるので、是非この建物にも目を向けてみてほしい。

この壁、これこそがあの「うだつ」だそう。火事の多かった昔の建物においてこの瓦屋根付きの壁が防火対策でもあり、防火対策ができるほどの金持ち、逆に言えば防火対策をしなくてはならない金目の物がたくさんある家にあったことから富の象徴とされた。実際この商店も裏に住居や倉庫が連なっていたそうで、かなりの富豪であったとおもわれる。小樽は当時富豪だらけであった。それをさりげない一コマの背景からも感じ取ることができるようになっている、ゴールデンカムイはすごい作品。

現在こちらの建物は大正硝子さんが店舗(本店)として使っているので、向かいの川に風鈴がたくさんかけられていたり軒先にはサンキャッチャーが並べられ、とてもかわいい。店舗内も是非訪れてほしい場所(店内撮影禁止なので画像はありません)。

物騒なゴールデンカムイや鶴見一派の世界とは逆に落ち着いたかわいらしい雰囲気。

堅牢な防火壁が堅牢な石造りの家を守っている様子
軒先に色とりどりのサンキャッチャーが並べられ、風が吹くとキラキラしながら回転したり揺れたりして美しい。

ちなみにこの建物は小さな川(於古発川)沿いにあり、その川を挟んだ向かいは土方歳三が襲った銀行のモデルの建物。こちらはまた別記事でゆっくり。にしても小樽市街地はゴールデンカムイの聖地がぎっしり。

ちなみに現在は大正硝子館さんが店舗として使用している建物なのに、敢えて前の所有者である「ナトリ株式会社」とかかげた看板を新しく造りなおして袖壁にぶらさげ、暖簾も㊤一のマークで造りなおしてさげているあたりに粋を感じると言うか、小樽の歴史そのものへの思いを感じて頭が下がります。

旧名取高三郎商店(現大正硝子館本店)の場所

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