おかげさまで20回目を迎えることが出来ました『ゴールデンカムイで寄り道さんぽ』シリーズ。今回は札幌世界ホテルのモデルとなったこちらの建物「旧浦河支庁庁舎」です。動画の字幕には収まりきらなかった情報も入れながらゆっくり見ていきたいと思います。
三田砲銃店の店主「札幌世界ホテルっていうところだよ」
(第50話 『春雷』より)
その名の通り、作中で札幌世界ホテルは札幌に位置しているが、モデルとなったこちらは北海道浦河町大通にあった庁舎。最初は石で作られる予定が予算の関係でデザインそのままに木造建築で施工することになり、今では逆に高くつきそうな気がする凝った精巧なデザインの建物。外観も細かく彫刻のような装飾も多い中、よくこれを木造で作ったものだとしばし見とれてしまう建物。
たしかに石の建物にありそうなデザインをしている。窓枠中央部などに使われるキーストーンもそのまま木材で作られていて、とても美しい。時代を考えれば元は石で作るように設計された洋館を、つい昨日まで日本家屋のみ施工してきたような大工さんたちが作り上げてしまうわけでプロの技術というのは圧巻である。
昔の高い洋館のホテルの写真(おそらくこちらも木造?)の写真が、こちらの建物と同じ開拓の村内に存在する。
大正9年創業の北海屋ホテル旭川支店。
写真は昭和3年のものだそうで大正時代から少し改築増築をしているかもしれないが、創業時から純様式ということで始まっているので近い雰囲気を感じることが出来る。すぐ隣には日本家屋もみられ、馬車が自動車に切り替わった頃なのも伝わり、一枚でこの当時の様子が良く分かる。
さて札幌世界ホテルのモデル旧浦河支庁庁舎、入ってすぐは受付。玄関ホールにある解説をみると
庁舎の簡単な図が見られ、上が2階、下が一階の略図。外から見ると総二階の規則正しい洋館に見えるが、中は結構入り組んだ造りで、解説にも「変則的」という文字が見られる。なんとなく作中の世界ホテルのように(諸事情により)改築改築…と入り組んでいった様子に思いを馳せることが出来る。一階の向かって左側は一般が入ることが出来ないが、それも込みで考えて実際歩いてみると建物内に曲がり角があったりして入り組んだホテルに若干思いを馳せることが出来る。
杉元「ずいぶんと入り組んだつくりのホテルだな」
(第51話 『殺人ホテルだよ全員集合!』より)
この、下半分が板張りの廊下の様子も作中そのままでわくわくする。
家永「お部屋でもお履物はそのままで結構です
外国かぶれの主人が建てたホテルでして」
(第50話 『春雷』より)
木の板の階段。2024年現在もお履物はそのままで二階にまであがることができる。冬に訪れると先客の雪跡が点々とついていることがある(開け放した暖房なしの建物なので寒く、雪は溶けることなく雪のまま残っている)。
一般家屋を中心に、二階に上がれない建物が増えている開拓の村だが、さすが庁舎の建物とあってそのあたり令和となってもびくともしない感じがある。
この建物は階段が特に美しく、作中も階段でのシーンは特によく見てしまう。次回その階段のシーンごとにその角度から見たり客室を見たりしてきます。この建物内にあるエディーダンさんの応接室のモデルとなった支庁長室などもご案内予定です。
動画派の方は是非こちらもご覧ください。札幌世界ホテルのモデルとなった旧浦河支庁庁舎も登場します