新聞社と石川啄木|ゴールデンカムイで寄り道さんぽ#1

ゴールデンカムイで寄り道さんぽ#1 新聞社と石川啄木

樺太も含め明治期の北海道全域を主な舞台とした超人気作品「ゴールデンカムイ」(野田サトル作)にこの「旧小樽新聞社」が描かれている。釧路新聞社の記者であった石川啄木のセリフとともに登場している。

石川啄木「なんでも近々あちこちの新聞社を買う予定なので新聞記者を探していたらしいぜ」(第124話)

作中登場するこちらの建物は小樽新聞社、石川啄木が記者なのは旧釧路新聞社、その前は小樽日報なので”あちこちの新聞社”の一つとして登場していると考えるのが自然か。

ゴールデンカムイで見る石川啄木と北海道

石川啄木はゴールデンカムイでは釧路新聞社の記者として登場する。

その前は小樽日報、さらにその前に札幌の新聞社(北門新報。北海タイムスの前身)にもいたが二週間弱で辞め、小樽日報も二か月で辞めている。

その後旧釧路新聞に入るがそこも三ヶ月程度で辞めている。北海道自体一年程度しか住んでいない。妻子を残し単身東京へいった。

そんなわずかな期間しか各地で記者をしていないのだが、北海道では所縁のある各所でかなりのスペースを使い石川啄木の資料展示をしたり碑を建てたりしている。

二週間程度いただけの下宿跡地に胸像もある(札幌駅北口徒歩数分)。啄木が働いた旧釧路新聞の建物が港文館として残っているが啄木に関するのさまざまな資料を二階を全部使って展示している。

当時旧釧路新聞社で長年活躍した第一線の記者たちがこの事実を知ったら泣いちゃいそう。「あいつ揉め事ばっかりですぐやめよったやん!」

釧路の港文館のすぐそばには、石川啄木像までもあった。

新聞社を転々とするたびに無断欠勤やら揉め事やら起こしているが、若かったこともあり中央文壇で輝きたい気持ちがありながら北の果て北海道で記者活動しているという現実の狭間で焦り迷走していたようにも思う。

こんなとこ俺のいる場所じゃないという思いもあったんだろうと思う。

彼の行動を史実で追っていくと、端から北海道など一生の地に考えていないという感じもするが、一方で”釧路も悪くない”という印象を手紙に書いたり、函館で死にたいというようなことも言っている(まあこれは函館に妻とは別の好きな人がいたので)。

入社前に社長にあれこれ注文をつけたりする自信家な面もあるが、ゴールデンカムイの作中でも言葉の端々に自信家な性格が見て取れ、作品の巧みさにただ感心する。

ゴールデンカムイ作中の石川啄木は土方歳三にお金をもらっては遊郭に入りびたり、永倉さんに生意気な話し方したりしているのがすごく本物っぽい感じがしてくる(本物はみたことないけど)。

事実借金しながら花柳界に出入りし(取材のためとも)、東京に行ったまま妻子を呼び寄せることもなくむしろ拒否っていた時期すらある啄木。

ゴールデンカムイ内のあのキャラそのままともいえる。でも不思議と困ったときに必ず手を差し伸べる人々がいて、作中でも宇佐美にボコボコにされながらも土方さんたちに情報をもってくる場面がある。その姿に永倉さんの目にうっすら涙が浮かぶほど…まあ花魁のためにがんばったんだけど(笑)

野口雨情の「札幌時代の石川啄木」によれば、初対面の野口に「金ねえしおまえのタバコさっきもらったから。」と挨拶し大声で笑うような人だったそうで。

とにかく石川啄木は意外にも大きな声でよく笑うような人だったらしい。行動とは裏腹にどうしても憎めないキャラクターだったのかもしれない。史実だけ聞くとちょっとむかついちゃうけど。

旧小樽新聞社へのアクセス

旧小樽新聞社は石川啄木の勤務先とは違いますが、多くの当時の機材が残され展示されているので当時の新聞社の活気ある忙しさが伝わってきます。作中にはこちらの建物の外観が登場。

ゴールデンカムイで寄り道さんぽ#1新聞社と石川啄木