前回からの続きです。
パネルだと思って通り過ぎるなかれ
「歴代ボス」紹介コーナー のつづき
・九代目ボス リキ

9代目ボス リキ(オス)
昭和45年生まれ、ボスの期間昭和54年~56年7月まで、体重450kg、体長234㎝。
やはり女王ギンコの子供で、2代目のように兄弟で協力したりせず、それぞれが争ってボスとなった。そのためか、政権はともに短かくして終った。(原文ママ)
~ ヒグマ博物館内展示パネルより ~
8代目ボスのギンタとは兄弟関係だったようです。ここまで見てきてやはり協力体制がとれていた方がボスとしても長持ちするらしいのは分かるのですが、それでも多くが争ってボスの座にのぼりつめています。
おそらく、人間の世界でもそうですが協力するというのは高度なことで、力で押さえつける方が協力体制よりは楽なんでしょうね。協力体制をとり続けるというのは基本食うか食われるかの世界の野生動物には難しいことなのでしょう。熊の世界には契約書も違約金もありません。相手の信頼が底なしでなければ自分が追われる立場になってしまいます。
・十代目ボス イッペイ

10代目ボス イッペイ(オス)
昭和46年生まれ、ボスの期間昭和55年~57年3月、体重400㎏、体長(頭胴長)220㎝。
いつも虎視眈々としていて、不意打ちの機会をねらい、後から陰険に争うという戦法で、ボスになったものの小競り合いが絶えず、牧場は戦国の世と化した。
~ ヒグマ博物館内展示パネルより ~
イッペイ、おまえ何をしてくれとんのや……
4代目ボスの「コボス」も陰険だと書かれていましたが、イッペイと違って小柄だったのでそれしか処世術がなかったとも思われるのですが…イッペイ…おまえ、おまえ……(体重400㎏)
「後から陰険に争う」というワードがとっても辛い(笑)
とにかくイッペイの代から戦国の世と化してしまった牧場。この期間に訪れた方々は殺伐とした空気におののいて帰りは口数少なくなっていたのかもしれません(笑)
・十一代目ボス モリオ

11代目ボス モリオ(オス)
第2のゴンゾーともささやかれ、気性は温厚で、自分からは争わないが挑まれれば受けて立ち、実力のほどを見せている。おかげで、牧場にも平和が戻った。
~ ヒグマ博物館内展示パネルより ~
モリオは、生まれた年の記載がないので詳細は分かりませんが、モリオもおそらく10代目ボスイッペイの恐怖政治の中で育っているはずなんですよね。その中でよくこんな温厚な気性にそだったものです。性格は環境に大きく支配されると思っていたのですが、恐怖政治の中でも失わなかった温厚さに大きな拍手を送りたい。そんな気持ちになりますね。いざ争うとなったら強いあたりも相当かっこいいですね。
ありがとうモリオ。
・12代目ボス カズヨシ

12代目ボス カズヨシ(オス)
昭和50年生れ。ボスの期間昭和61年5月~11月、体重290㎏、体長(頭胴長)209㎝。血気盛んな若い熊達に押されつつ、半年間という短い期間ではあったがよく健闘した。(原文ママ)
~ ヒグマ博物館内展示パネルより ~
しぶしぶボスの座に立った、もしくは立たざるを得なかったのでしょうか。
ここ近々のボスの中ではかなり小柄なカズヨシ。「健闘した」で締めくくられているので恐怖政治でもどっしりしたボスでもなく、しいて言えばカズヨシがボスだったかな~という感じの期間だったのかもしれません。血気盛んな若い熊たちを治めるのも体力勝負でたいへんそうですね。
・十二代目ボス フミオ

13代目ボス フミオ(オス)
母の鑑と言われるフミの息子で昭和63年から平成5年まで、名ボスゴンゾーに次ぐ長期政権を維持した。最期までボスとしての気力を持ち続け健気に一生を全うした。
~ ヒグマ博物館内展示パネルより ~
6年間ボスの座に立った6代目ボスゴンゾーに次ぐ長期政権とのこと。フミオのボス任期も6年に見えますが6年弱といったところなのでしょうか。性格に関する記載はありませんがここまで見てきた我々には相当な性格の温厚さと挑まれた戦いには必ず勝つ体力がないと続かないことは分かります。フミオもまたそんな熊だったのでしょう。
後述の14代目ボス「リキタ」の説明にありますが、フミオがボス任期だった頃、4頭の若熊が四天王としてとくに恐れられていたとあるので、その四天王を抑えるだけの任務をこんなに長期こなしていたことになります。相当強かったと思われます。

14代目ボス リキタ(オス) 1980年1月生まれ
長寿だったウラコ(29歳で死亡)の息子。
名ボス「フミオ」後を継いで、平成6年から平成9年まで3年間ボスを務めた。フミオ政権時代は「ブッチャー」「カオグロ」「ロコ」らと共に四天王と恐れられていた。
~ ヒグマ博物館内展示パネルより ~
説明文から見る限り、前政権のフミオ時代から四天王と恐れられたいたとあるので、もともと次期ボス候補ではあったと考えられます。ざっくり言ったら四天王の中で一番強かったということになるでしょうか。3年間とあるのでリキタもなかなかの長期政権。
・十五代目ボス ブッチャー

15代目ボス ブッチャー(オス) 1980年1月生まれ
平成9年から平成11年まで、3年間ボスを務めた。
ボス就任時の年齢としては歴代最高年齢(17歳)
若い頃は暴れん坊だったが、ボスを意識する頃には「和」を重んじ、第一牧場をまとめあげた。
~ ヒグマ博物館内展示パネルより ~
14代目ボスのリキタと共に四天王と呼ばれていたブッチャー、リキタと入れ替わりでボスになったのですね。しかも歳もあってかボスになるころにはかなりの人格者という雰囲気になっていたようで。説明文からは頼もしい雰囲気が伝わります。和を重んじる心。
ちなみにブッチャーがまとめあげたという「第一牧場」とはオスの牧場のことです。メスは第二牧場にいます。
・十六代目ボス マツ

16代目ボス マツ(オス) 1989年生まれ
ついにゴンゾウの記録(7年間)を抜き、ボス在位9年間の長期政権を築いた。(平成11年~平成19年)
就任当初は暴れん坊だったが、次第に貫禄がついてくると、後半は圧倒的な力に加え、周りからの信頼も兼ね備えた絶対的なボスとして君臨した。
~ ヒグマ博物館内展示パネルより ~
長い!9年という長い間に体力が衰えないのかと思いますが「後半は圧倒的な力に加え」とあるのでもともとが相当強かったのでしょうか。力に加えて貫禄(余裕ができたのでしょう)もあり、やはり長期政権を握るには力だけではだめなのだなと、どのボスの説明文からも感じ取ることが出来ます。
・十七代目ボス/十九代目ボス サチオ

17代目・19代目ボス「サチオ」 1999年生まれ
母親とはぐれてノラ猫にいじめられていたところを保護されてきた、ちょっと変わった経歴の持ち主。穏やかな性格で、自分からケンカを仕掛けることは少なく、ボスの座から一度は落ちたが、周りのクマに推されて再びボスに返り咲いたのは史上初。
~ ヒグマ博物館内展示パネルより ~
日本では最大陸上動物のヒグマ。でも小さなころはノラ猫にいじめられるんか…
北海道は冬が厳しくて越せないからかノラ猫が少ないな(ゼロとは言わない)という印象があるのですが、そのノラ猫に遭遇しているだけでもサチオはかなりのレアケースですね。割と人里近くで母熊とはぐれてしまったのでしょうか。
いじめられている側がずっと弱いとは限りません。サチオはボスにまでなりました。しかも写真を見る限り歴代ボスと比べても大きそうな姿ですらあります。何キロかの記載はないのですが400㎏くらいあったと言われてもすんなり受け入れられます。
名前の「サチオ」ですが、名づけの経緯までは触れられていませんが、保護された経緯からみて幸せになれよという意味が込められていそうで良いですね。
しかも穏やかな性格だったようです。
・十八代目ボス ゲンキ

18代目ボス「ゲンキ」 2001年(平成13年)生まれ 平成21年のみの短期政権。
野生からの保護個体で、幼少期から体は大きく目立った存在だった。性格が少々荒っぽく、力で前ボスを圧倒しボスに就任するが、格下のクマにも攻撃が絶えなかったため、ボス在位のまま群れから隔離される。そのまま次年度のボス争いには参加せずに、ボス交代となった。
~ ヒグマ博物館内展示パネルより ~
野性からの保護個体とあります。母熊とはぐれたか母熊がなんらかの理由で駆除されたかして保護されたのでしょうか。環境的にも少々荒っぽくなるのはやむ負えないというところですね。
ボスを意識してボスになったというよりは生い立ち的にも「手あたり次第やらなきゃやられる」という生き様だったのかもしれません。牧場の平和のためにも隔離されましたが、ゲンキにとっては(他のクマにとっても)無駄に争う必要もなくなり逆によかったのかもしれません。
多少の小競り合いやボス決め時期の争いには相当慣れているクマ牧場が隔離するくらいなのでこの頃もかなり牧場は殺伐としてたいへんだったのではないでしょうか。
隔離された結果、前ボスのサチオがまたボスに返り咲いたということですね。
もうずっとここまで一貫して言えるのがボスには器が必要と言うこと。
そしてその器というのは体力と温厚さを兼ね備えたものであること。
これですね。一つ頑張ることが出来てももう一方がおろそかだとうまくいかない、上に立つというのは大変なのですね。
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